業種を変えると、Googleに登録されたURLの中身は変わるのか
変わりませんでした。渋谷駅から半径500m以内という同じ範囲を、同じ日に4分違いで取得し、同じ判定ルールで分類した結果です。変わったのは、口コミの量のほうです。
口コミの2行は、同じものを2通りに測ったものです。口コミが0件の店の割合は、口コミ件数の分布の左端にあたります。別々の発見として数えていません。
割合の差の検定の統計量は、登録率がz=1.161、自社ドメインの割合がz=−1.328、集客ポータルの割合がz=1.993、口コミが0件の店の割合がz=−2.916です。
(p値は、実際には差がないのに、これだけの差かそれ以上の差が偶然でついてしまう確率です。値が小さいほど偶然ではなさそう、1に近いほど偶然でも起きる範囲を意味します。)
幅で見ると、重なり方がはっきりします
95%信頼区間は、どちらも大きく重なります。サイトURLの登録率は、エステが73.2%から80.6%、美容室が75.6%から85.0%です。登録があった店に占める自社ドメインの割合は、エステが49.2%から59.3%、美容室が42.1%から55.2%でした。
差が出たのは、口コミの量です
口コミ件数の分布そのものが、エステのほうが低い側に寄っています。中央値は7.0件と23.5件で、順位を使う検定(Mann-Whitney の U 検定、両側)ではp<0.001でした。口コミが0件の店の割合22.9%と14.1%は、この分布の左端を切り取ったものです。同じ変数を2通りに測っているだけなので、別々の発見として数えません。
ただし、2つの分布は大きく重なっています。共通言語効果量(CLES)は59.84%でした。エステと美容室から1店ずつ選んだとき、美容室のほうが多いのが57.61%、同数が4.48%、エステのほうが多いのが37.92%です。順位相関(rank-biserial)は−0.197で、隔たりの大きさは中程度以下です。
中央値の比は3.36倍ですが、これは1点どうしの比であって、2群の隔たりの大きさを表していません。1店ずつ選んで美容室のほうが多いのは、約6割です。
なぜ口コミの量が違うのかは分かりません。1時点の同時観測であり、開業からの年数も客層も見ていません。観測された事実としてだけ記します。
集客ポータルの割合の差は、断定に使いません。p=0.046は0.05のすぐ際にあり、母数や除外の条件が少し動けば裏返る位置です。エステのほうが低く見えますが、この記事はそれを結論として扱いません。
比較の相手は、この媒体が最初に数えた美容室です。美容室2,340店の口コミ件数と自社サイト率を実測した記録で7エリア2,340店を集計しており、そのうち渋谷駅の270店を取り出しています。
この記事の数字は、何を指しているのか
本記事が数えたのは2つだけです。Googleの店舗情報に載っている口コミ件数と、ウェブサイトのURLで、売上でも来店数でもありません。読み違いを防ぐため、使う言葉を先に定義します。
口コミ件数の分布に使う3つの値
- 中央値とは、店を口コミ件数の順に並べたとき、ちょうど真ん中に来る店の件数です。平均値と違い、口コミが極端に多い一部の店に引っ張られません。
- 上位25%ラインとは、そのエリアで口コミが多いほうから4分の1に入るために必要な件数です。下位25%ラインは、少ないほうから4分の1にあたる店の件数です。
- この3つは線形補間法で計算しています。位置を按分して求めるため小数が出ますが、丸めずにそのまま載せます。丸めると上げ下げの方向が箇所ごとにぶれ、あとから検算できなくなるためです。
サイトの数え方は、2つに分けます
- サイトURLの登録とは、Googleの店舗情報にウェブサイトのURLが1本入っている状態です。行き先は問いません。
- 自社ドメインとは、そのURLがその店自身のドメインである状態です。集客ポータルの店舗ページのように、他社のドメイン上に置かれたページは含めません。
この2つは別物です。どちらを数えたのかが読み手に分かる語だけを使うため、本記事は登録されていた374件のURLをドメインの保有者を基準に7区分へ分けて、両方の数字を並べて出します。
この485店は、数え切れていると言えるのか
言えます。区画に分けて取得し、探索した区画は187、上限に達した区画は0でした。打ち切りは起きておらず、網羅が完了した状態で取得を終えています。
美容室との違いは、業種の指定だけです。取得したのは同じ2026年7月31日で、時刻の差は4分でした。エステが23時53分、美容室が23時57分です。中心の座標も半径500mも、URLの判定ルールも同じものを使っています。比較のためにあとから条件を揃えたのではなく、同じ日に続けて取得したデータです。
対象はGoogleの業種分類で beauty_salon nail_salon spa massage_spa beautician foot_care に当たる店です。
なぜ570件が485店になったのか
候補570件のうち85件(14.9%)を対象から外したためです。除外率は美容室の13倍以上あります。ここは母数そのものを左右するので、内訳をすべて開示します。
除外の内訳は次のとおりです。
- 医療系(医療クリニック、医師、スキンケアクリニック) … 54件
- ジム・スポーツ系 … 20件
- 銭湯・サウナ系 … 10件
- 宿泊複合 … 1件
救済とは、店名の語で除外の候補になったものの、Googleの業種分類にもとづいて対象に戻した店です。6店あり、内訳はクリニックが3店、ホテルが1店、ジムが1店、鍼灸が1店でした。名前に別業種の語が入っているだけのサロンを落とさないための処理です。
この6店は、除外した85件の外側にあります。85件は救済したあとに残った除外の件数で、採用した485店の中にこの6店が含まれます。
この処理は、実際に効いていました。救済した6店の口コミ件数は、0件、0件、5件、15件、168件、170件です。救済しなければ、口コミが168件の店と170件の店を落としていました。この6店の最終的な区分は、①自社ドメインが4店、④SNS・リンク集約が1店、⑦URL登録なしが1店です。
beauty_salon という業種は、医療クリニック、ジム、サウナと重なります。485店は、570件から85件を落とした結果です。除外の条件が変われば、母数も変わります。なぜ美容室の13倍以上まで開くのかは、分かりません。業種分類が重なることが理由の一部だとしても、それで全部を説明できるかは確かめていません。
何を条件に外したのか
条件は2つです。Googleの業種分類と、店名に含まれる語です。この2つを書かなければ、同じ数を数え直せません。
業種分類で外したもの(22件) … doctor hospital medical_clinic skin_care_clinic dental_clinic dentist pharmacy drugstore physiotherapist veterinary_care gym sauna public_bath lodging hostel hotel night_club bar lounge_bar sporting_goods_store cafeteria sports_activity_location
日本語にすると、医師、病院、医療クリニック、スキンケアクリニック、歯科医院、歯科医師、薬局、ドラッグストア、理学療法、動物病院、ジム、サウナ、銭湯、宿泊施設、ホステル、ホテル、ナイトクラブ、バー、ラウンジバー、スポーツ用品店、カフェテリア、スポーツ施設です。日本語は編集部による訳で、判定に使ったのは識別子です。
店名の語で外したもの(24語) … クリニック、皮膚科、美容外科、形成外科、美容皮膚科、歯科、内科、外科、眼科、病院、医院、診療所、薬局、ドラッグ、サウナ、銭湯、スーパー銭湯、ジム、フィットネス、ホテル、カラオケ、整骨院、接骨院、鍼灸。
この店名の語のリストは、美容室に使ったものとは中身が違います。美容室では脱毛、増毛、ウィッグ、まつげエクステ、エステティックなどを外していますが、エステではこれらを外していません。業種の指定だけが違うのではなく、外す条件そのものが業種ごとに違います。
サイトURLの中身を分けると、何が残るのか
485店のうちURLの登録は374店(77.1%)ですが、自社のドメインは203店(41.9%)にとどまります。差の大半は、集客ポータルの店舗ページです。
(⑦の111店は、URLが登録されていない店の数です。このあと出てくる「口コミが0件の111店」とは別の集まりで、数字が同じなのは偶然です。)
登録があった374店の中身は、次のようになります。①自社ドメインが203店で54.3%、②集客ポータルが119店で31.8%です。全485店を分母にした41.9%と24.5%とは、分母が違います。引き算しても意味はありません。
最も多い単独のドメインは、ホットペッパービューティーです。beauty.hotpepper.jp と b.hpr.jp を合わせて115店あり、全485店の23.7%、URLの登録があった374店の30.7%にあたります。
これは店にとってのウェブサイトではなく、掲載媒体の中の1ページです。ここを分けずに登録率77.1%とだけ書けば、この115店も自社サイトを持つ店に数えられます。
URLが無い店と、口コミが0件の店は、同じ店なのか
半分は入れ替わっています。どちらも111店ですが、両方に当てはまるのは54店でした。
URLの登録が無い111店のうち、口コミが0件なのは54店(48.6%)です。逆に、口コミが0件の111店のうち57店(51.4%)はURLを登録しています。したがって、「URLが無い店」と「口コミが無い店」は、同じ集まりではありません。
なお、111店はほかにもあります。1つは評価が付いていない111店で、これはこのデータでは口コミが0件の111店と完全に同じ店でした。もう1つは、見出し「チェーン本部のサイトは、どれくらい混ざっているのか」に出てくる「①自社ドメインのうちURLがトップページのみの111店」で、こちらは別の集まりです。同じ111店でも、指しているものは4通りあります。
この分類は、どういう手順で判定したのか
判定はドメイン名だけで機械的に行い、ページを人の目で見て決めた箇所はありません。当てはめる順序で結果が変わるため、順序と使ったドメインを公開します。
判定の順序
上から順に当てはめ、最初に当たった区分で確定します。
- ⑦ URL登録なし … 登録欄が空
- ⑥ 判定保留 … ドメインだけでは行き先を判別できないもの
- ② 集客ポータル
- ③ 他社プラットフォーム上のページ
- ④ SNS・リンク集約
- ⑤ 予約SaaS
- ① 自社ドメイン … どれにも当たらなかったもの
照合の方法
ホスト名を小文字にし、先頭の www. を取り除いてから照合しました。完全に一致するか、ドットで区切った末尾が一致する場合に一致とみなします。サブドメインも含まれます。
判定に使ったルールは、判定ルールの全文(url-classification.json)で公開しています。下の表に載せたのは、今回1件以上該当したドメインだけです。該当が0店だったドメインもルールには含まれています。
② 集客ポータル(119店)
③ 他社プラットフォーム上のページ(13店・9ドメイン)
④ SNS・リンク集約(22店・4ドメイン)
⑤ 予約SaaS(10店・4ドメイン)
⑥ 判定保留(7店・6ドメイン・7ホスト)
この区分だけは、ドメインの一覧を載せていません。7店のうち5店のホスト名には屋号が入っており、そのまま載せると店が特定できてしまうためです。判定できなかった店として名指しすることになるので、理由ごとの件数だけを出します。理由の文言は、判定ルールに書いてある記述そのものです。
7店・6ドメイン・7ホストというズレの正体は、この表の3行目です。ブランド名とも共有サービス名とも読める2店だけが、1つのドメインとその下のサブドメインという2ホストに分かれています。列を足したのは、読者が足し算で確かめられるようにするためです。
短縮URLの2店は bit.ly と x.gd が1店ずつです。この2つは誰でも使える汎用のサービスなので、店は特定できません。短縮URLを①自社ドメインに数えないという扱いは、過去に取り違えが起きたことを踏まえたものです。
なお、この区分のルールに登録されているドメインは15件で、今回該当したのは6件、残りの9件は該当が0でした。
① 自社ドメイン(203店)
②から⑥のどれにも当たらなかったものです。182ホスト・182ドメインにわたります。
口コミの件数は、どう散らばっているのか
中央値は7.0件で、比較した美容室の23.5件を下回りました。下位25%ラインは1.0件、上位25%ラインは41.0件です。
最小は0件です。平均は55.5546件で、中央値の7.0件から大きく離れています。分布の裾が長いため、本記事は中央値を主に使います。
評価(星の数)の中央値は4.7でした。評価が付いていたのは374店です。URLの登録があった374店と数は同じですが、同じ店の集まりではありません。突き合わせると、次のようになります。
どちらも374店ですが、57店ずつが入れ替わっています。数字が同じなのは偶然です。
口コミが少ない店は、実際に何店あるのか
0件が111店(22.9%)、9件以下が266店(54.8%)です。1件以下は149店(30.7%)でした。四分位からの推計ではなく、1店ずつ数えた実数です。
0件の割合の差だけが、偶然では説明しにくい水準でした(p=0.0035)。理由は分かりません。ここから原因を読み取ることは、このデータではできません。
なお、口コミの少なさは経営の良し悪しを表しません。今回分かるのは、Googleマップ上で見えている情報の量だけです。
口コミが多い店は、自社サイトを持っているのか
このデータでは言えません。口コミ上位10店ではURLの登録率が100.0%、そのうち自社ドメインが70.0%で、全店の54.3%より15.7ポイント高く見えます。しかし、この差は偶然の範囲と区別がつきません(p=0.324)。
上位10店の内訳は、①自社ドメインが7店、②集客ポータルが1店、④SNS・リンク集約が1店、⑤予約SaaSが1店で、⑦URL登録なしは0店でした。口コミは436件から3,577件です。
幅で見ると、はっきりします。上位10店の70.0%には、95%信頼区間で39.7%から89.2%の幅があります。全店の54.3%はこの中にあります。母数が10店しかないため、1店動くだけで10ポイント動きます。
したがって、「上位店は自社サイトを持っている」とは言えません。上がっているのはURLが1本入っているかどうかだけで、その中身の構成は、幅の中に埋もれています。
口コミ件数で層に分けると、どうなるのか
登録率はきれいに上がりますが、自社ドメインの割合は上がりません。39.4%から69.2%の間を行き来し、口コミが多い層ほど高いという並びにはなっていません。
2つめの表の分母は、その層のURL登録あり店舗数です。全店舗数ではありません。0件の層の57店は、口コミが0件でURLの登録がある店です。見出し「URLが無い店と、口コミが0件の店は、同じ店なのか」に出てくる「URLの登録は無いが口コミは1件以上ある57店」とは別のものです。
最も低いのは10件から49件の層の39.4%、最も高いのは300件以上の層の69.2%でした。なぜこの層で落ちるのかは分かりません。観測された事実としてのみ記します。
この幅を美容室と比べることはしません。エステの上端69.2%は300件以上の層の13店のうち9店、美容室の側も10店のうち3店という実数で決まっています。両端の層は10数店しかなく、レンジどうしを比べられる件数ではありません。
チェーン本部のサイトは、どれくらい混ざっているのか
3ドメイン13店です。同一のドメインを4店以上が共有しているものを数えました。全485店の2.7%、自社ドメイン203店の6.4%にあたります。
美容室の渋谷270店では、自社ドメイン106店のうち4店(3.77%)でした。エステは203店のうち13店(6.40%)です。エステのほうが高く見えますが、この件数では区別がつきません(p=0.336)。
自社ドメイン203店のうち169店は、そのドメインを1店だけで使っています(自社ドメインの83.3%)。さらに、サブドメインを使わず1店だけが使っているものは163店で、自社ドメインの80.3%です。美容室の渋谷270店では106店のうち76店(71.7%)でした。エステのほうが高く見えますが、差は8.6ポイントで、区別がつくとは言えません(p=0.087)。
そのうち111店は、URLがトップページのみで、ドメイン名以外に材料がありません(自社ドメイン203店の54.68%)。美容室の渋谷270店では106店のうち58店(54.72%)で、この指標では差がありませんでした(p=0.995)。
この数字から、自分の店の位置をどう確かめるのか
見るのは口コミ件数と、登録されているURLの行き先の2つだけです。必要なのはGoogleマップと3分です。
- Googleマップで自店を開き、口コミ件数を確認する。渋谷駅から半径500m以内のエステサロンの中央値は7.0件、上位25%ラインは41.0件だった
- 同じ画面で、ウェブサイトのURLが登録されているかを確認する
- 登録されている場合、そのURLを開いて行き先を見る。自店のドメインか、掲載媒体の中の1ページかを確かめる
3番目が、本記事で分けている部分です。485店のうち115店は、ここでホットペッパービューティーの店舗ページに飛びます。URLが入っていること自体は、自社のサイトがあることを意味しません。
対象のエリア以外の店でも、同じ手順で調べられます。調査日、範囲、対象業種、外す条件に使った業種分類と店名の語、取り切れたことの確認方法、分類に使ったルールの公開先までをすべて書いてあるのは、同じ方法を誰でも再現できるようにするためです。
※ 店名は出していません。件数と傾向だけを扱い、掲載順が低い店を名指しで論評することはしません。個別の取材記事へのリンクも置いていません(匿名性が破れるためです)。